加配とは?うちの子も対象?申請方法・メリット・デメリットを教諭が解説

加配がついておらず不安になっている子供 園生活の困りごと
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執筆
えんノビ編集部

発達グレーゾーン×園生活の専門メディア「えんノビ」編集チーム。現役幼稚園教諭が監修し、園生活の現場視点から、お子さまの発達が気になる保護者に寄り添った情報を発信しています。

加配制度が気になる保護者の方へ|この記事でわかること

「うちの子だけ先生がついてる…これって何?」そんな疑問を持つ保護者の方は少なくありません。加配とは、特別な配慮が必要な子どもに対して、通常の職員配置に加えて保育士や支援員を追加配置する制度です。この記事では、加配の基本的な仕組みから申請方法、実際の支援内容まで、保護者が知っておくべき情報を現役幼稚園教諭の視点から詳しく解説します。

加配とは何か?基本的な定義と目的

加配制度の正式な定義

加配(かはい)とは、保育園や幼稚園などの集団生活において特別な配慮や支援が必要な子どもに対し、通常の職員配置基準に加えて保育士や教員、支援員を追加で配置する制度です。

厚生労働省は「概ね障害児2名に対し、保育士1名を水準とする」という目安を示していますが、実際の運用は各自治体が独自に決めています。この制度は、障害の有無に関わらず、個別の配慮が必要な子どもたちが安心して集団生活を送れるよう支援することを目的としています。

加配が必要とされる背景

近年、発達障害の認知度向上や早期診断の進展に伴い、特別な支援を必要とする子どもの数が大幅に増加しています。厚生労働省のデータによると、発達障害児数は2010年の4万5,369人から2020年には7万9,260人へと約1.7倍に増加しました。

この背景には、インクルーシブ保育の推進があります。すべての子どもが同じ環境で共に学び、育つことの大切さが広く認識され、そのための支援体制として加配制度が重要な役割を担っています。

さくら先生
園の先生より ─ 制度の実際の運用
園では「この子にはもう少し個別の関わりが必要だな」と感じる場面が日常的にあります。例えば、朝の会でみんなが座っているのに一人だけ立ち歩いてしまう子、給食の時間に食べることに集中できない子など。そんな時、加配の先生がそっと寄り添うことで、その子も周りの子も安心して過ごせるようになります。

加配の対象となる子どもの特徴と条件

発達に配慮が必要な子どもの具体例

加配の対象となる子どもは、必ずしも医学的な診断を受けている子どもだけではありません。園での集団生活において、以下のような配慮が必要な子どもが対象となります。

身体的な支援が必要なケースでは、車椅子を使用している子ども、視覚や聴覚に配慮が必要な子ども、医療的ケアが必要な子どもなどが該当します。食事の介助や移動のサポート、薬の管理など、安全面での配慮が重要になります。

コミュニケーション面での配慮が必要なケースには、言葉の発達がゆっくりな子ども、相手の気持ちを理解することが難しい子ども、自分の気持ちを伝えることが苦手な子どもなどがいます。友達とのトラブルを未然に防いだり、気持ちの橋渡しをしたりする支援が必要です。

集団行動に参加が困難なケースでは、じっと座っていることが難しい子ども、急な変更に対応できない子ども、感覚過敏で大きな音や触感を嫌がる子どもなどが対象となります。

加配対象の判定基準

加配の配置には、医師の診断書が必要な場合と、園での観察記録を基に判断される場合があります。重要なのは、保護者の同意と理解です。

診断名がついていない「グレーゾーン」の子どもでも、園での生活に困り感がある場合は加配の対象となることがあります。年齢別では、3歳以降の集団生活が本格化する時期に加配のニーズが高まる傾向があります。

加配保育士・支援員の具体的な役割と仕事内容

日常生活サポートの実際

加配保育士の主な役割は、対象となる子どもの日常生活全般をサポートすることです。食事の時間には、食べやすい環境を整えたり、必要に応じて介助を行ったりします。排泄の際は、タイミングを見計らって声をかけたり、着替えの手伝いをしたりします。

安全確保も重要な役割です。予期しない行動を取りやすい子どもの場合、常に見守りながら危険を回避し、安心して活動できる環境を作ります。体調の変化にも敏感に気づき、必要に応じて保護者や看護師と連携を取ります。

集団活動への参加支援

朝の会や製作活動など、集団での活動に参加できるよう、個別の配慮を行います。活動の内容を事前に伝えたり、視覚的な手がかりを用意したりして、子どもが理解しやすいよう工夫します。

友達との関わりでは、仲介役として適切な距離感を保ちながらサポートします。けんかが起きそうな時は事前に察知して別の活動に誘導したり、相手の気持ちを代弁したりします。

ルールの理解が難しい子どもには、その子なりの方法で説明し、段階的に集団のルールに慣れていけるよう支援します。

個別の発達課題への対応

感覚統合に課題がある子どもには、音や光、触感などの刺激を調整し、快適に過ごせる環境を作ります。コミュニケーション支援では、その子に合った方法(身振り、絵カード、簡単な言葉など)を使って意思疎通を図ります。

学習面でのサポートでは、その子の発達段階に応じた活動を提供し、「できた」という成功体験を積み重ねられるよう配慮します。

加配の職員が子供をサポートしている場面

加配申請から配置までの流れと必要な手続き

申請に必要な書類と準備

加配の申請には、いくつかの書類が必要です。医師の意見書や診断書は、子どもの状態を客観的に示す重要な資料です。ただし、診断名がなくても、園での観察記録があれば申請できる場合もあります。

園では、日常の様子を詳しく記録し、どのような場面でどんな配慮が必要かを具体的に記載した観察記録を作成します。保護者からの申請書には、家庭での様子や困り感、希望する支援内容などを記入します。

審査・判定のプロセス

申請書類は自治体の担当部署で審査されます。多くの自治体では、医師や保育の専門家、心理士などで構成される専門委員会で検討されます。

審査では、子どもの状態、園での困り感の程度、加配による効果の見込みなどが総合的に判断されます。配置決定までの期間は自治体によって異なりますが、通常1〜3ヶ月程度かかることが多いです。

配置後の継続的な評価

加配が配置された後も、定期的な見直しが行われます。多くの場合、半年から1年ごとに支援内容や配置の必要性について評価されます。

子どもの成長に応じて支援内容を調整したり、進級時には新しいクラスの担任と詳しい引き継ぎを行ったりします。場合によっては、加配が不要になることもあり、それは子どもの成長を示す喜ばしいことです。

さくら先生
園の先生より ─ 申請時の保護者の心境
加配を勧められた時、多くの保護者は「うちの子は普通じゃないの?」と不安になられます。でも実際に配置されると「先生がついてくれて安心」「子どもが楽しそうに園生活を送れている」という声をよく聞きます。加配は子どもの可能性を狭めるものではなく、むしろ広げるためのサポートなんです。

保護者が知っておくべき加配制度の注意点

加配がつかない場合の対処法

申請しても予算や人員の都合で加配がつかない場合があります。2019年の調査では、加配保育者の77.5%が非正規雇用であり、人材確保の課題が指摘されています。

そんな時は、園と連携して代替的なサポート方法を検討します。クラス担任による個別配慮の強化、保護者との連携密度を高める、外部の療育機関との並行利用などの方法があります。

園選びの際は、加配制度への取り組み状況や、加配がつかない場合の対応方針について事前に確認しておくことが大切です。

加配を勧められた時の心構え

「加配が必要」と言われると、多くの保護者は戸惑いを感じるものです。しかし、これは子どもの成長を支えるための前向きな提案として捉えてください。

周囲の理解を得るためには、加配の目的や効果について正しく説明することが重要です。「特別扱い」ではなく「個別の配慮」であることを理解してもらいましょう。

将来への準備として、小学校進学時の支援体制についても早めに情報収集を始めることをお勧めします。

小学校以降の加配制度との違いと継続性

就学時の支援体制

小学校では「特別支援教育支援員」や「学習支援員」という名称で、類似の支援が行われます。保育園・幼稚園の加配とは制度や予算の仕組みが異なりますが、個別支援という基本的な考え方は共通しています。

就学前には「個別の教育支援計画」を作成し、園での支援内容を小学校に引き継ぎます。通級指導教室の利用も選択肢の一つです。

中学校・高校での支援継続

中学校以降も「合理的配慮」の提供が義務化されており、必要に応じて支援員の配置や環境調整が行われます。

進路選択の際も、これまでの支援内容を参考に、その子に最適な教育環境を選ぶことができます。継続的な支援により、子どもの可能性を最大限に引き出すことが可能です。

国の支援制度と自治体の取り組み

障害児保育加算制度

国は「障害児保育加算」という制度で、加配に必要な人件費を補助しています。経費は国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1の割合で負担します。

対象施設は認可保育所、認定こども園、小規模保育事業などです。申請は各自治体を通じて行われ、基本的に保護者の追加負担はありません。

自治体独自の支援策

多くの自治体では、国の制度に加えて独自の支援策を実施しています。例えば、私立幼稚園に対する「特別支援教育費補助金」では、月額7万3,570円程度の補助を行う自治体もあります。

保護者向けの相談体制も充実しており、発達相談員による定期相談や、専門機関との連携支援などが提供されています。

令和4年度時点で、障害児通所支援サービス全体の利用児童数は約45.7万人に上り、この10年間で大幅に増加しています。こうした状況を受け、2023年4月に発足したこども家庭庁では、「こどもまんなか」の視点から支援の拡充を進めています。

自治体の職員が子供に教えている場面

よくある質問

Q: 加配の先生は何の資格が必要ですか?

A: 基本的には保育士資格が必要ですが、自治体によっては子育て支援員研修修了者や、研修を受けた無資格者でも配置される場合があります。専門性を高めるため、発達支援に関する研修を受けている方が多いです。

Q: 加配を申請したら必ずつけてもらえますか?

A: 残念ながら、自治体の予算や人員確保の状況により、申請しても配置されない場合があります。その際は、園と相談して代替的な支援方法を検討することが大切です。

Q: 加配がつくと子どもにマイナスの影響はありませんか?

A: 適切な支援により、子どもの自信と成長が促されます。「できた」という成功体験を積み重ねることで、むしろ積極性や自己肯定感が高まることが多いです。周囲の子どもたちにとっても、多様性を理解する良い機会になります。

Q: 加配の費用は保護者が負担するのですか?

A: 基本的に保護者の追加負担はありません。国の補助金と自治体の予算で賄われています。ただし、私立園では一部負担を求められる場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。

20年以上の保育経験の中で、加配をつけた子どもたちの成長を数多く見てきました。最初は不安そうだった保護者も、子どもが生き生きと園生活を送る姿を見て「お願いして良かった」とおっしゃいます。大切なのは、その子らしさを大切にしながら、必要な支援を適切なタイミングで提供することです。

まとめ

加配制度は、特別な配慮が必要な子どもたちが安心して集団生活を送るための重要なサポート体制です。診断の有無に関わらず、その子に必要な支援を提供し、持てる力を最大限に発揮できる環境を作ることが目的です。

申請から配置まで時間がかかる場合もありますが、子どもの成長と発達を支える大切な制度として、多くの保護者に活用していただきたいと思います。不安や疑問がある時は、園の先生や自治体の担当者に遠慮なく相談してください。

一人ひとりの子どもが輝ける場所を見つけ、のびのびと成長していけるよう、保護者と園、そして地域が連携して支援していくことが何より大切です。あなたのお子さんも、きっと素晴らしい可能性を秘めています。その芽を大切に育んでいきましょう。

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